このページではご自身で抵当権抹消登記申請の手続きを行いたい方に向けて記載しています。
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住宅ローンの完済、団信による完済した場合、借入残高はゼロになりますが、借入の際に登記した抵当権設定登記は自動的には抹消されません。
ご自身で抵当権抹消登記の手続きをする必要があります。
完済後、借入先の金融機関から抵当権抹消登記に必要な書類が交付されているかと思います。
の中には、紛失してしまうと再交付ができないものがあったり、時間が経ってしまうと手続きが面倒になる場合もあります。
そのため、完済後、書類を受け取られたら早めの手続きをお勧めします。
抵当権抹消登記に必要な書類等
住宅ローンを完済した、団信により全額返済した場合
抵当権抹消登記では、借入先金融機関(銀行等)の書類が必要になります。
そのため、ローンを完済すると銀行等からいろいろな書類とともに、抵当権抹消手続きに必要な書類も交付されます。
その書類の中には、銀行等からの委任状や再交付(再発行)ができない書類も入っています。
銀行等から書類を受け取ったら早めの登記手続きをお勧めします。
抵当権抹消登記の必要書類・登録免許税
<抵当権抹消登記に必要な一般的な書類>
①解除証書・弁済証書(下記の例を参考にしてください) |
②登記識別情報通知・登記済証(※) ※抵当権設定契約証書である場合が多いです。(下記の例を参考にしてください) |
③銀行からの委任状 |
④会社法人等番号 |
①解除証書の例(その1)

①解除証書の例(その2・設定契約書に「解除します」の印鑑・いわゆる奥書形式)

②登記識別情報通知の例

②登記済証の例

<登録免許税>
抵当権抹消登記を申請する際には、登録免許税の納付が必要です。
登録免許税は登記申請書とともに収入印紙にて納付します。
納付方法の詳細は下記でご案内の法務局ホームページでご確認ください。
登録免許税額は不動産の個数×1,000円です。
例えば、自宅の抵当権を抹消する場合、底地1筆・建物1棟であれば、
不動産の個数は2個となり登録免許税は2,000円となります。
つまり、登記申請をする際は不動産の数を確認しなければなりません。
その不動産の数は、設定契約書の末尾などにある物件欄(不動産の表示・物件の表示)を確認する方法が簡便です。
ただし、戸建ての場合とマンション(区分所有)の場合では、記載方法が違います。
下記の記載例を参考にしてください。
なお、下記の記載例では不動産の数は次のとおりです。
<戸建て>
土地×1、建物×1 計2個 (登録免許税=2,000円)
<マンション(区分)>
専有部分(お部屋)×1、敷地(土地)×2 計3個 (登録免許税=3,000円)
※敷地(土地)は1個の場合もあれば、事例のように複数のことも多いです。
<戸建ての例>

<マンション(区分建物)の例>

誰が登記申請を行うのか?
ここで、そもそも抵当権抹消登記は誰から申請しなければならないのか、という点をご案内します。
不動産登記手続きの大原則として、「共同申請」というルールがあります。
「共同申請」とは、「権利を失う者」と「権利を得る者(負担がなくなる者)」が共同して
登記を申請しなければならないというルールです。
抵当権抹消登記に当てはめると、抵当権という権利を失う者が銀行等の金融機関、抵当権という負担がなくなる者が不動産の所有者、ということになります。
つまり、抵当権抹消登記手続きは「銀行」と「不動産の所有者」が共同して行う必要があるということです。
ここでご留意いただきたいのは、借り入れていた人(債務者)と不動産の所有者が違う場合です。
例えば、ご自身の借り入れについて、親御さんの不動産を担保に入れていたような場合です。
この場合は、返済はご自身でされたと思いますが、抵当権抹消登記手続きは、不動産の所有者である親御さんが行うことになります。
さて、話をもどして、抵当権抹消登記手続きは「銀行」と「不動産の所有者」で行うという点をご理解いただけたかと思いますが、とはいっても、「銀行」の担当者と一緒に登記申請書を作成するわけではありません。
銀行は、完済書類の中に「委任状」を入れてくれているはずです。
その委任状によって銀行の分まで登記手続きをしているということになります。
そのため、委任状はなくさないようにしてください。
抵当権抹消登記を申請する前提として、申請する必要のある登記について
それともう一つご留意いただきたいことがあります。
それは、抵当権抹消登記のほかに申請する必要がある登記についてです。
不動産の所有者は「住所」と「氏名」が登記簿に記載されています。
住宅ローンは長期間にわたって返済するため、抵当権設定当時とその「住所」と「氏名」が異なっている場合もあります。
そのような場合は、抵当権抹消登記申請の前提として、変更があった住所や氏名を現在の住所や氏名に変更する登記が必要になります。
具体的には、所有権登記名義人住所(氏名)変更登記です。
また、相続によって所有者自体が変更されている場合もあります。
その場合は、抵当権抹消登記手続きの前提として相続による所有権移転登記(相続登記)が必要になります。
<まとめ>
- 抵当権抹消登記は「銀行」と「所有者」で行う。
- 「銀行」は委任状によって登記手続きを行うことになる。
- 所有者の住所や氏名が変更されている場合は、前提として住所・氏名の変更登記が必要になる。
- 所有者に相続があった場合は、相続による所有権移転登記(相続登記)が必要になる。
抵当権抹消登記等の申請書ひな型
抵当権抹消登記等の申請書は法務局のホームページからダウンロードできます。
抵当権抹消登記の申請書→こちら
所有権登記名義人住所(氏名)変更登記の申請書→こちら
古い抵当権が残っている場合(休眠担保)
古い抵当権が残っている場合として次のパターンが考えられます。
①完済しており、抵当権抹消書類も手元にあり、抵当権抹消登記だけ行っていない。
②完済しており、抵当権抹消書類は以前銀行等から交付されたが、現在は手元にない。
③古すぎて完済しているかわからない。(明治・大正・昭和戦前~昭和50年頃の登記)
上記のうち③はいわゆる休眠担保と言われています。
休眠担保の抹消はより専門的な手続きになります。
①抵当権抹消書類が手元にある場合(抵当権抹消登記だけ行っていない場合)
この場合は、基本的に現在借り入れ中の抵当権の抹消手続きと同じです。
ただし、完済時から数年以上経過している場合、銀行等の代表者が変更していることがあり、別途の書類が必要となることがあります。
お早目にご相談ください。
②抵当権抹消書類を交付されたが、紛失してしまって現在は手元にない
相続の際などに登記簿謄本を確認していたら、随分前に借り入れていた住宅ローンやリフォームローンの抵当権がそのまま残っていることに気が付いた、というような事例です
このような場合、すでに銀行等での完済手続きは終わっており、完済手続きの際に銀行等から抵当権抹消書類は交付されていたものの、長い時間が経過しており、手元に書類がないというようなことがあります。
この場合は、まずは銀行等に連絡し、必要書類を再発行してもらうなどの問い合わせ・打ち合わせが必要になります。
ただし、近時、金融機関の再編や経営破綻などもあり、もともとの金融機関が現在はどの金融機関になっているのか(経営破綻して存在していないのか)、すぐにはわからないことも多いです。
そのような場合は、金融機関の問い合わせ窓口の調査から始めなければなりません。
また、抵当権抹消書類の中には、再交付ができない書類(登記識別情報通知・登記済証)が含まれています。
そのため、通常の抵当権抹消登記とは異なった手続きが必要になります。
弊所では、金融機関の問い合わせ窓口の調査をはじめ、問い合わせや打ち合わせなどからおまかせいただけます。
基本的に依頼者様は一度弊所へお越しいただければ弊所にてお手続きを進めることができます。
時間が経てばたつほど手続きが面倒となり、余分な費用も掛かってしまいます。
お早目のご相談をおすすめします。
③古すぎて完済しているかどうかもよくわからない抵当権がある場合(明治~昭和50年頃の登記)
相続による名義変更(相続登記)の際に、登記簿謄本を確認していたら、随分古い抵当権や質権の登記を見つけることがあります。
いわゆる休眠担保とよばれるものです。
先祖代々同じ土地に住まわれているような場合に多いです。
祖父や曽祖父などの先代が、近隣の方と金銭の貸し借りをした際に、担保として抵当権を設定していたような事例もあります。
抵当権設定登記は、どんなに古いものであっても当事者が抵当権抹消登記を申請しなければ、国などが職権で(自動的に)抹消手続きをしてくれることはありません。
そのため、明治や大正・戦前の抵当権設定の登記であったとしても、登記上は有効な(現役の)登記として存在しています。
このような抵当権等は先述のとおり休眠担保などと呼ばれますが、決して無効であったり効力が亡くなっているわけではありません。
登記上は有効な登記であるため、不動産を売却するような場合は、売却前に抹消手続きをしておかなければなりません。
その抹消手続きですが、基本的には通常の抵当権抹消登記と同様です。
すなわち、抵当権者(抵当権の登記名義人)から抵当権抹消に必要な書類を交付してもらい、登記所に抵当権抹消登記を申請することになります。
しかし、古い抵当権の場合、登記簿に記載されている抵当権者はすでに亡くなっていたり、会社が存在していなかったりすることも多く、抵当権者からの書類がそろえることができないこともあり得ます。
そのため、登記手続き上特例的な手続きが用意されています。
1.抵当権者から交付を受けた債権証書など完全な弁済があったことを証明して登記する方法
2.弁済期から20年経過後、債権・利息全額を供託して登記する方法
3.裁判によって抵当権抹消登記についての勝訴判決を得て登記する方法
1は、抵当権者からの書類が必要なため実用性は低いです。
2は、たとえ債権を完済していたとしても、利息分を含め債権額全額を供託する必要があります。
とはいっても、債権額が少額(10円〇銭のような債権額の場合)であれば利用可能な場合も多いです。
一方、借り入れが比較的近時(昭和後半)の場合、債権額によっては利用のための負担が大きくなり、現実的ではなことがあります。
3は、裁判によって判決を出してもらう手続きです。
抵当権者からの書類がなくても、供託をしなくても抵当権を抹消することができます。
一方、裁判手続きのため、時間がかかります。
古い抵当権を抹消する場合は、専門的な手続きが必要です。
弊所では裁判手続きを含め、お受けすることができます。
裁判手続きをはじめ、時間がかかる手続きとなっています。
お早目のご相談をおすすめします。