遺言手続でよくあるご質問(自筆証書遺言の開封)

父が亡くなりました。相続人は私と弟と妹の子ども3人です。父は自宅に自筆証書遺言を保管していました。相続の準備をしたいと考えています。相続人全員が一緒であれば遺言書を開封し中身を確認しても大丈夫ですか?

封がされている自筆証書遺言を勝手に開封してはいけません。

相続人全員が一緒にいても同じです。

開封するには、相続開始後(遺言者が亡くなった後)、家庭裁判所で検認の手続きが必要です。

なお、勝手に開封した場合はペナルティー(過料)を科される場合もあります。

自筆証書遺言には検認が必要

遺言は、遺言者の最後の意思表示として重要な書面です。そのためその扱いは厳格に定められています。
自筆証書遺言の場合、開封するためには家庭裁判所において検認(けんにん)の手続きが必要になります。
検認をせずに開封した場合、5万円以下の過料(ペナルティー)を科される場合があります。
なお、開封してしまったとしても、遺言自体が無効になることはありません。
また、検認を受けなければ、相続による不動産登記手続き(不動産の名義変更)などができません。

手続例

検認の手続の概要は次のとおりです。
手続:遺言者の最後の住所地の家庭裁判所

必要書類等:
(相続人が配偶者と子の場合の例)
・遺言者の出生から死亡までの戸籍一式(除籍・改製原戸籍)
・相続人全員の戸籍謄本
・申立書

費用:遺言書1通につき800円

検認は証拠保全の手続き

検認は、証拠保全の手続きです。
すなわち、家庭裁判所において遺言書を開封することにより、検認の日=遺言書を開封した日現在の遺言書の内容を明確にして、その後の遺言書の偽造や変造を防ぐための手続です。
したがって、”裁判所”の手続きと言っても、検認において遺言の有効無効を判断するわけではありません。